2008
“スピリチュアル”乗り「きもかわいい」ポクポン、人気に
先の見えない不安な時代を象徴するかのようなスピリチュアルブーム。そんな世相を反映するように「恋愛」「金運」「健康」などの願いをかなえてくれるお守りが「きもかわいい」と受けている。
お守りはタイ生まれで、身長6センチの人形「ポクポン」。赤や青、緑などの色鮮やかな糸を巻いて作られている。チェッカーサポート(東京都江東区)が企画・販売している。素朴な暖かみにあふれ、20~30代の働く女性を中心に、中高生やお年寄りまで幅広い人気だ。
ポクポンは昔からタイで厄除けとして親しまれてきたという「ドゥカタ(人形)」が元になっている。タイの学生が現代風にアレンジして、外国人観光客相手に販売したところ評判になり、中国、台湾、シンガポールなどにも輸出され人気となった。
そんなとき、同社の輸入担当者が中国で販売されているのを見つけた。素朴で暖かみを感じる手作り感と、妖精のような「きもかわいさ」。竹澤宏志マーケット事業部長(43)は「ストレス社会の日本で絶対、ヒットする」と確信した。
中国ではのろいのわら人形のような使われ方をしていたが、日本ではお守りとして売り出すことにした。名前もタイ語のお守りという意味から転化させたポクポンという親しみやすい名称を商標登録して発売。東急ハンズなどの大型雑貨店で店頭イベントを開きながら、地道に売り込みを図っていった。
折からのスピリチュアルブームもあり、働く女性を中心に少しずつ口コミで広まっていく。竹澤部長は「日常生活の中で仕事や健康、恋愛などさまざまな不安とストレスを抱える働く女性にとっての癒しグッズになった。手作りの暖かみが多くの人の心を捕らえたのではないか」とみている。
ファン層も確実に広がっている。とくに最近目立ってきたのが高齢の女性だ。「おばあちゃんが健康や厄除けのポクポンを自分のつえにつけたりしている。子供のころ人形を手作りして遊んだ感覚を思いだしてなじみやすいのではないか」という。
当初はタイでデザインされた48種類でスタートしたが、今では社内のデザイナーが企画したオリジナルが加わり約700種類にまで増えた。季節や年間行事に合わせたアイテムもあり、今の時期は受験やホワイトデー向けが店頭に並ぶ。
それぞれに細かいテーマを持たせ、恋愛にも「好きな人を振り向かせる」「浮気防止」、健康では「美・若々しさ」、ほかに「アガリ症克服」など多様なキャラクターづくりがされている。
ミクシィのコミュニティーサイトでファン同士が情報交換したり、現在放映中のテレビドラマ「だいすき!!ゆずの子育て日記」「斉藤さん」にも登場している。また小中学生のファンを獲得しようとアニメ化の計画もある。さらに「神社とコラボできたら面白い。どこにもない神社公認のオリジナルのお守りは御利益がありそうと話題になるのではないか」とアイデアは尽きない。
きもかわいい。新感覚のお守りが現代人の心を癒やしている。(佐竹一秀)
フジサンケイビジネスアイから
お守りってやっぱり、気持ち的に安心するんだよねぇ。